自宅を差し押さえられて競売開始決定通知が届いた方は、『競売が始まるとどうなるのか』と不安を感じているかもしれません。競売物件は通常、市場価格の5〜7割程度でしか売却されません。さらに競売費用も差し引かれ、残債が多くなる可能性があります。
また、落札者決定後、1〜2ヶ月程度で退去を求められ、居座り続けても強制的に追い出されるリスクがあります。
ですが、競売が開始した後でも、「任意売却」という方法で回避できる可能性があります。
任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になった際に、債権者(金融機関)の同意を得て、不動産を自主的に売却する方法です。
通常の不動産取引と同様に、市場価格に近い金額で売却できる可能性が高くなります。加えて、引き渡し時期も交渉の余地があるため、競売よりもメリットが大きい売却方法です。
本記事では、任意売却のメリットや注意点、競売の流れについて詳しく解説します。
リスタート株式会社 代表取締役 峯元 竜
建設業個人事業主を7年経営後、不動産業を12年間経験。2017年の独立開業後、事業の負債を抱えながら働きつつ 副業を掛け持ちしていた経験をもとに、依頼者目線で課題解決に取り組む。
任意売却やリースバックを通じて、一人でも多くの依頼者が安心して新しい生活をスタートできるよう支援。また独自のネットワークを活かし、複雑な金融機関との交渉や、迅速な売却サポートにも強みを持つ。
「任意売却」について詳しく知ろう
任意売却とは、金融機関(債権者)の同意を得て自宅を売却する方法で、次のようなメリットがあります。
任意売却の3大メリット
・市場価格に近い金額で売却できる
競売では市場価格の5~7割程度の安い価格でしか売れないことが多いですが、任意売却なら市場価格に近い金額で売却できる可能性があります。
また、任意売却では通常の不動産売却と同じように、複数の買主候補と交渉することで、より高い価格での売却を目指すことができます。物件の内見やポータルサイトでの広告掲載も可能なため、競売と比べて市場価格の8~9割程度での売却が期待できます。
・ 周囲に知られるリスクが低い
競売は新聞やインターネットで物件情報が公開されるため、知人や近隣住民に経済状況が知られてしまう恐れがあります。一方、任意売却は通常の不動産売却と同様の手続きで進めるため、プライバシーが守られやすいです。 社会的信用や人間関係への影響を最小限に抑えることができ、精神的な負担も軽減されるでしょう。
・ 引き渡し時期を調整しやすい
競売の場合、退去のタイミングは裁判所の指示に従う必要がありますが、任意売却では買主と交渉することで引き渡しの時期を調整できます。 一般的には売買契約締結後1か月以内の退去が目安ですが、買主との交渉次第では延長も可能。所有者の仕事や学校などのスケジュールを考慮して、引き渡し日を決めることができます
任意売却の注意点
・ 金融機関の同意が必要
任意売却を行うには、ローンの担保権を持つ金融機関の同意が不可欠です。債権者が反対した場合、任意売却は実行できません。
・ 売却後に残債が残る場合がある
売却金額がローン残債を下回る場合、残った借金は引き続き返済する必要があります。ただし、債権者と交渉することで返済方法を調整できることもあります。
・ 信用情報への影響
過去の滞納が信用情報に登録される可能性がありますが、任意売却自体が信用情報を大きく傷つけるわけではありません。
任意売却の具体的な手順と期間
任意売却を進めるための具体的な手順は以下のとおりです。
- 専門業者への相談
住宅ローンの支払いが難しいと感じた時点で、任意売却に詳しい不動産会社や専門業者へ相談します。早めに行動することで、競売を回避しやすくなります。 - 債権者との交渉
任意売却を行うには、債権者(金融機関)の同意が必要です。専門業者が売却の条件や手続きについて金融機関と交渉します。 - 不動産の査定と販売活動
物件の査定を行い、適正価格を設定して市場に出します。この段階では通常の不動産売却と同様に、インターネットや広告を利用して買主を探します。 - 売却と契約の成立
買主が見つかれば、債権者と最終調整を行い、売買契約を締結します。売却金額からローンの残債や諸費用を差し引いた金額が返済に充てられます。 - 引っ越しと引き渡し
契約成立後は、引っ越し準備を進め、期日までに物件を引き渡します。引っ越し費用についても、債権者から一定額を認めてもらえる場合があります。
任意売却にかかる期間
手続きの開始から売却完了までには、3か月~6か月程度かかるのが一般的です。時間に余裕を持って取り組むことが重要です。
リースバックで住み続けることも可能
競売が始まってしまっても「住み慣れた自宅にこのまま住み続けたい」という方は、リースバックを活用すれば住み続けられる可能性があります。
リースバックとは、自宅を売却した後も同じ家に賃借人として住み続ける方法。住宅ローンの返済に充てる資金を確保しながら、引っ越しの手間や費用を避けられます。また、将来的に経済状況が改善した場合、買い戻せる可能性もあります。
競売の流れ
競売が開始された後、「いつまでに任意売却をすれば回避できるのか」を把握することが重要です。競売が進む各ステップを知り、適切なタイミングで行動を起こすためにも、流れを以下に解説します。
- 競売開始決定通知
競売開始決定通知は、裁判所が債権者の申立てを正式に受理したことを債務者に知らせる書類です。この通知が届くと、競売に向けての具体的な手続きが始まります。債務者はこの時点で、任意売却などの競売回避の方法を検討する必要があります。 - 現況調査の実施
競売開始決定通知の到着後、裁判所の執行官と不動産鑑定士による現況調査が行われます。これは物件の下見と訪問査定を行い、不動産の状況と価値を確認するためのものです。所有者は原則として調査を拒否できず、非協力的な場合は強制的に立ち入られる可能性があります - 物件情報の公開
現況調査から2〜3ヶ月後、物件情報が公開されます。これは入札期間の2〜3週間前に行われ、潜在的な買主に物件の詳細情報を提供します。この時点で、競売物件としての公示が行われることになります - 入札開始(開札)
物件情報公開から約1週間後に入札が開始されます。この期間中、興味のある買主は物件に対して入札を行います。入札は通常、期間入札方式で行われ、最高価格で入札した人が落札候補者となります - 売却許可決定
開札日から約1週間後、裁判所は落札者による物件購入を許可するかどうかの審査を行います。売却が許可されると、落札者は1ヶ月以内に代金を納める必要があります。この決定から1週間は債務者からの不服申立てが可能ですが、正当な理由がない限り認められません2。 - 所有権移転と立ち退き
落札者が代金を支払うと、不動産の所有権が移転します。この時点で債務者は住む権利を失い、立ち退きが必要となります。新所有者への引き渡しまでの期間は状況によって異なりますが、できるだけ速やかな退去が求められます。
競売を回避できるのは原則として開札日の前日まで
競売開始決定通知書が届いてから約6ヶ月後に設定される開札日の前日が、実質的な最終期限となります。決して余裕がある状況とは言えません。
そのため、競売を避けるならすぐに対応することが望ましいでしょう。
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任意売却は競売開始決定後でも間に合うケースがあります。とにかく早めに行動することで、より良い条件で次の生活への一歩を踏み出すことができます。
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通常、競売を回避できる割合は1割未満(※1)とされる中、経験豊富な代表が直接対応し、債権者や行政との煩雑な手続きを代行することで、多くの方を競売回避へ導いてきました。
周囲に知られず、計画的な退去で新たな生活をスタートしたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
(※1)参照元:一般社団法人全日本任意売却支援協会