住宅ローンの連帯保証人になったものの、将来的なリスクや生活の変化により「外れたい」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、一度連帯保証人になると、簡単には解除できません。
本記事では、連帯保証人を解除するための方法や金融機関との交渉のポイント、解除が難しい場合の対策について解説します。状況に応じた適切な対処法を知り、リスクを減らすための一歩を踏み出しましょう。

リスタート株式会社 代表取締役 峯元 竜
建設業個人事業主を7年経営後、不動産業を12年間経験。2017年の独立開業後、事業の負債を抱えながら働きつつ 副業を掛け持ちしていた経験をもとに、依頼者目線で課題解決に取り組む。
任意売却やリースバックを通じて、一人でも多くの依頼者が安心して新しい生活をスタートできるよう支援。また独自のネットワークを活かし、複雑な金融機関との交渉や、迅速な売却サポートにも強みを持つ。
連帯保証人を解除する主な方法
住宅ローンの連帯保証人を外れるには、金融機関の同意が必要です。解除する方法はいくつかありますが、それぞれ条件や手続きが異なります。ここでは、連帯保証人を解除するための具体的な方法について解説します。
1. ローンを完済する
住宅ローンを完済すれば、連帯保証人の義務は自動的に解除されます。最も確実な方法であり、主債務者に早期完済を促すのが有効です。
完済方法として、貯蓄や退職金の活用、家族・親族からの支援、ボーナス時の増額返済、繰り上げ返済 などがあります。特に繰り上げ返済は、元本を減らし利息負担を軽減し、完済時期を早めるメリット があります。
完済する際は、金融機関に相談し、手続きや手数料を確認 しましょう。完済後は、主債務者に完済証明書を取得してもらい、内容を確認 することが大切です。また、信用情報機関で記録の反映状況を確認すると安心です。
2. 住宅を売却する
主債務者が住宅を売却し、その売却益でローンを完済できれば、連帯保証人の義務を外せます。はじめに不動産会社の査定を受け、市場価格を大まかに把握したうえで、売却価格とローン残高を照らし合わせ、最適な方針を検討しましょう。
売却益だけでは残債をすべて返しきれない場合、金融機関に相談しながら対策を考えます。競売よりも高値が期待できる「任意売却」を視野に入れると、返済の負担を減らせる可能性があるでしょう。仮にそれでもローンが残るときは、分割払いなどの条件を交渉することも可能です。

任意売却はローンを遅延して支払いが困難な方への特例の売却方法であるため注意が必要です。
なお、自宅を売却しても引き続き住みたい場合は「リースバック」という方法があります。買主とのあいだで賃貸契約を結び、住み慣れた環境を維持したまま返済負担を軽減できる仕組みです。主債務者の状況に応じた方法を選ぶことで、連帯保証人の義務を解除できます。
3. ローンの借り換えをする
主債務者が別の金融機関で新しい住宅ローンを契約し、その際に「連帯保証人なし」の契約に切り替えれば、連帯保証人の義務が解除されます。これを「借り換え」といい、既存のローンを新たなローンで一括返済する仕組みです。
借り換えには審査があり、主債務者の収入や信用情報が重要視されます。借り換えによって金利が下がることで毎月の返済負担を軽減できる可能性がありますが、事務手数料や抵当権設定費用がかかることに注意が必要です。
4. 連帯保証人を変更する
新しい連帯保証人へ変更して、解除する方法です。主債務者が金融機関に申し出て、代わりの保証人を立てることで、現在の連帯保証人の義務を解除できる可能性があります。ただし、金融機関の審査が必要となり、新しい保証人には安定した収入や信用情報が求められます。
審査をスムーズに進めるためには、新しい連帯保証人が金融機関の基準を満たしていることが重要です。
■新しい連帯保証人の審査基準
- 安定した収入がある(会社員、公務員、自営業など)
- 信用情報に問題がない(延滞履歴がない)
- 多額の借入がない
また、主債務者の返済状況も審査に影響することがあるため、手続きを進める前に遅延なく返済を続けているか確認しておくとよいでしょう。
5. 他の担保を提供する
金融機関と交渉し、連帯保証人の代わりに担保を設定することで、連帯保証の解除が認められることがあります。この場合、担保となる資産は基本的に主債務者が用意するものですが、状況によっては連帯保証人が提供します。
■担保として認められる資産
担保の種類 | 具体例 | 注意点 |
不動産 | 持ち家、賃貸用不動産 | 返済不能時に売却される可能性 |
預金 | 定期預金、普通預金 | 金融機関が担保として確保する場合あり |
有価証券 | 株式、投資信託 | 価格変動の影響を受ける可能性 |
6. 主債務者の信用力を高める
主債務者の信用力が向上すれば、金融機関が連帯保証人を不要と判断し、契約の見直しを検討する可能性があります。
信用力を高めるには、収入の安定や信用情報の維持が欠かせません。特に、継続的な収入があることや、ローン・クレジットカードの支払いを遅れずに行うことが評価の対象です。これらの条件を満たすことで、金融機関に保証契約の見直しを相談しやすくなります。
連帯保証人を外れるには、主債務者と協力し、金融機関が見直しを検討できる状況を整えることが大切です。
住宅ローンの連帯保証人を解除できない場合の対策

住宅ローンの連帯保証人を解除できない場合でも、状況に応じた対応を取ることで負担を軽減できます。ここでは、具体的な対策について解説します。
任意売却を検討する
住宅を売却し、その売却益でローンの残債を減らす方法のひとつに「任意売却」があります。競売とは異なり、市場価格に近い金額で売却できる可能性があるため、残債を減らしやすいのが特徴です。競売では市場価格を大幅に下回ることが多く、ローンが多く残るリスクが高まるため、できるだけ任意売却を検討する方が有利です。
任意売却を進めるには、金融機関の同意が必要ですが、売却してもローンが残る場合は、分割払いなどの返済方法を交渉することができます。手続きをスムーズに進めるには、不動産会社や弁護士などの専門家に相談しながら進めるとよいでしょう。
債務整理の選択肢
住宅ローンの返済が難しくなった場合、法的な手続きを活用して負担を軽減する方法もあります。代表的な方法として、「個人再生」や「自己破産」があります。
■個人再生
安定した収入がある場合、住宅を手元に残しながら、ローンの一部を減額できる可能性があります。住宅ローンを含む借入額が減ることで、返済の負担を軽減できるのが特徴です。
■自己破産
住宅ローンを含むすべての債務が免除されるため、大幅に負担を減らせます。ただし、住宅を手放す必要があり、一定期間は新しいローン契約やクレジットカードの利用が制限されます。
どの方法が適しているかは、収入状況や住宅の所有状況によります。手続きには専門的な知識が必要になるため、弁護士や司法書士に相談しながら進めましょう。
求償権を行使する
連帯保証人が主債務者の代わりにローンを支払った場合、その金額を主債務者に請求できる権利があります。これを「求償権」と言い、法律で認められているものです。
求償権を行使すれば、支払った分の返済を求めることができますが、主債務者の経済状況によっては回収が難しくなることもあります。返済能力がない場合や支払いを拒まれた場合、話し合いだけでは解決しにくいため、法的手続きを検討することも必要です。
■求償権を行使する際のポイント
- 返済した金額や日付を証明できる書類を用意する(通帳の履歴、領収書など)
- 主債務者と話し合い、返済方法を調整する
- 交渉が難しい場合は、弁護士に相談し、法的手続きを検討する
まとめ:早めの対応が連帯保証人のリスクを軽減する
連帯保証人を解除するには、金融機関の承認が必要であり、簡単には進められません。早めに対応を検討し、適切な手段を見つけることが大切です。
リスタートでは、任意売却やリースバックを通じて、皆様の住宅ローンに関する不安を解決しています。遠方の方には訪問サポートもあり、悩みを抱える一人ひとりに丁寧に対応します。まずはお気軽にご相談ください。