住宅ローンの返済が難しくなり、任意売却を検討する際には、不動産会社との契約方法がポイントです。その中でも「専任媒介契約」は、多くの任意売却において選ばれる契約形式です。
本記事では、専任媒介契約の基本的な仕組みや一般媒介契約との違い、契約を結ぶ際のポイントなどを詳しく解説します。任意売却を成功させるために、適切な契約の選び方を確認しておきましょう。

リスタート株式会社 代表取締役 峯元 竜
建設業個人事業主を7年経営後、不動産業を12年間経験。2017年の独立開業後、事業の負債を抱えながら働きつつ 副業を掛け持ちしていた経験をもとに、依頼者目線で課題解決に取り組む。
任意売却やリースバックを通じて、一人でも多くの依頼者が安心して新しい生活をスタートできるよう支援。また独自のネットワークを活かし、複雑な金融機関との交渉や、迅速な売却サポートにも強みを持つ。
任意売却における専任媒介契約とは?
任意売却では、不動産会社と「専任媒介契約」を結ぶのが一般的とされています。
専任媒介契約では売主が依頼できる不動産会社が1社だけとなり、販売戦略や交渉の窓口を一本化できる点が特徴です。 特に任意売却は売却期限が設定されることが多く、短期間で債権者との交渉を進めなければなりません。
そこで、窓口を一本化しやすい専任媒介契約が選ばれやすいのです。

債権者にとっても複数の会社から連絡があることは業務に支障が出やすいため、専任媒介をおすすめします。
一般媒介契約との違い
一般媒介契約は複数の不動産会社へ同時に依頼できるため、物件情報が広まりやすい一方で、報告義務やレインズ登録の義務がありません。結果として、売却活動や進捗状況が見えにくくなる可能性があります。また、各不動産会社がバラバラに活動するため、売却方針が定まらず時間がかかりがちです。
■一般媒介契約と専任媒介契約の簡単な違い
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | |
依頼できる不動産会社 | 複数社OK | 1社のみ |
売主自身での買主探し | 可能 | 可能(不動産会社を通す必要あり) |
販売状況報告の頻度 | 義務はない | 2週間に1回以上 |
レインズ登録 | 任意 | 7営業日以内に必須 |
専任媒介契約のメリット
専任媒介契約では、不動産会社が交渉や販売を一括して対応。手続きの流れが明確になり、買主を見つけるまでの管理もしやすくなります。ここでは、専任媒介契約の具体的なメリットについて解説します。
債権者との交渉を一本化してもらえる
専任媒介契約では、不動産会社が販売活動や買主との交渉の窓口を一本化できます。任意売却の場合、不動産会社が債権者との交渉もサポートするケースが多く、売主の負担軽減につながります。ただし、債権者との交渉対応は不動産会社ごとの業務範囲によるため、事前に確認しておくことが重要です。
さらに、販売状況の報告が定期的(2週間に1回以上)に行われるため、進捗を把握しやすくなります。売主自身がこまめに確認しなくても、不動産会社が状況を整理して伝えてくれるため、次の判断がしやすくなるでしょう。
販売活動が積極的に行われる
不動産会社は、売却が成立しなければ仲介手数料を得られません。そのため、専任媒介契約では、販売活動に力を入れてもらいやすくなります。広告の掲載回数が増えたり、問い合わせ対応が強化されたりするだけでなく、物件の魅力を引き出す販売戦略を考えてもらえるでしょう。
また、専任媒介契約ではレインズへの登録が義務付けられており、多くの不動産会社に情報が共有されます。その結果、より多くの買主へ情報が届き、売却のチャンスが広がります。
情報の管理がしやすい
複数の不動産会社に依頼すると、宣伝方法や価格設定がバラつく場合があります。一方、専任媒介契約なら1社で情報を一元管理できるため、販売戦略や条件の統一が容易になります。その結果、買主が混乱しにくく、取引の透明性も高まります。
専任媒介契約の注意点
専任媒介契約には売却活動を一本化できる利点がありますが、事前に確認しておくべき点もあります。ここでは、専任媒介契約の注意点について紹介します。
契約期間は最長3か月
専任媒介契約の有効期間は最長3か月と定められています。この期間内に売却が成立しなかった場合、契約を更新するか、他の不動産会社に依頼し直すことが可能です。
また、3か月を超える契約は法律で認められていないため、継続する場合は改めて契約を結ぶ必要があります。契約満了前に進捗を確認し、更新するかを判断しましょう。
契約期間内で売却を成立させるためには、適切な販売戦略が求められます。価格設定や広告の打ち出し方によっては、売却が長引くこともあるため、販売状況を定期的に見直すことが重要です。
1社に依頼するリスクがある
不動産会社を1社に絞る分、その業者の販売力や交渉力が不足していると、買主が集まらず売却が長期化する可能性があります。
- 任意売却経験が少ない業者だと、金融機関との交渉に不慣れな場合もある
- 広告活動が弱いと買主の目に留まる機会が減り、問い合わせ数が伸び悩む恐れがある
こうしたリスクを避けるためにも、事前に会社の実績や販売力をしっかり見極めることが大切です。
契約解除の条件に注意
専任媒介契約は途中で解除できますが、契約内容によっては違約金が発生する可能性があります。例えば、不動産会社が広告を出したり、買主との交渉を進めたりした後に解約すると、その費用を請求されることもあるでしょう。
トラブルを避けるためにも、「解除のタイミング」「費用の負担」など、条件の細部まで確認しておきましょう。
専任媒介契約を結ぶ際のポイント

任意売却を円滑に進めるには、契約時に確認すべき点を把握しておくことが大切です。特に、不動産業者の選定や契約内容の確認、売却活動の報告について事前に理解しておくことで、後のトラブルを防げます。
任意売却の実績がある不動産業者を選ぶ
任意売却では、金融機関との交渉が欠かせません。そのため、実績が豊富な不動産業者を選ぶことで、売却手続きをスムーズに進めやすくなります。交渉の経験が不足している業者では、手続きが滞る可能性があるため、慎重に見極めることが大切です。
業者を選ぶ際は、公式サイトや口コミで過去の取引実績や相談件数、任意売却に特化した専門スタッフがいるかどうかも判断のポイントです。
契約内容を細かく確認する
専任媒介契約を結ぶ前に、販売活動の範囲・手数料・契約期間・解除条件など、細かい点まで理解しておきましょう。
契約期間が終了した場合の扱い(更新の可否・更新時の条件) や違約金や広告費用の負担が生じるタイミングなど、口頭説明だけで済まさず、契約書に明記してもらうことが重要です。
売却活動の報告義務を確認
専任媒介契約では、不動産会社に対し、2週間に1度以上の売却活動報告が義務付けられています。契約前に、どのような形式(書面・電話・メール)で報告を受けるのか、どの程度の詳細な情報が共有されるのかを確認しておきましょう。
報告には、広告の掲載状況や内覧者の反応、価格調整の必要性などが含まれます。特に、買主の関心度や市場の変化についても具体的な情報を得られるかどうかを確認しておくと、売却の方針を柔軟に見直せるでしょう。
専任媒介契約を活用してスムーズな任意売却を
任意売却を進めるには、信頼できる不動産会社を選び、契約内容を事前に確認することが欠かせません。専任媒介契約を結ぶことで、売却活動を一本化し、債権者との交渉もスムーズになります。
リスタートでは、任意売却やリースバックを通じて、皆様の住宅ローンに関する不安を解決しています。遠方の方には訪問サポートもあり、悩みを抱える一人ひとりに丁寧に対応します。まずはお気軽にご相談ください。