任意売却の一般的な成功率は5~6割。後悔しないために知っておきたい落とし穴と対策

住宅ローンの返済が困難になった際、競売という強制的手段を避けるための前向きな選択肢として「任意売却」があります。しかし、任意売却の成功率は一般的に5~6割程度とされ、決して高いとは言えないのが現状です。

この数字だけを見ると不安に感じるかもしれませんが、任意売却の成功率は一律ではありません。実際には、相談のタイミングや依頼する専門業者の力量によって大きく変動します。

この記事では、任意売却の成功率が下がってしまう主な原因や、失敗を避けるために知っておきたいポイント、そして相談先の選び方まで詳しく解説します。これから任意売却を考えている方に向けて、現実的な視点から「成功に近づくための道筋」をお伝えします。

この記事の監修者

リスタート株式会社 代表取締役 峯元 竜

建設業個人事業主を7年経営後、不動産業を12年間経験。2017年の独立開業後、事業の負債を抱えながら働きつつ 副業を掛け持ちしていた経験をもとに、依頼者目線で課題解決に取り組む。

任意売却やリースバックを通じて、一人でも多くの依頼者が安心して新しい生活をスタートできるよう支援。また独自のネットワークを活かし、複雑な金融機関との交渉や、迅速な売却サポートにも強みを持つ。

成功率を下げる4つの要因

任意売却がうまくいかない背景には、いくつかの共通パターンがあります。ここでは失敗につながりやすい4つの要因を整理して紹介します。

1. 販売期間が短い

競売が申し立てられると、任意売却に割ける時間は大幅に制限されます。一般的に、競売申し立てから入札開始までは2~3ヶ月程度しかなく、この短期間に広告作成、内覧対応、価格交渉、そして買主のローン審査まで全てを完了させなければなりません。

特に、新規掲載から2週間以内に反響がない物件は、その後の買い手探しが難航しがちです。また、競売手続きが進行すると(例:裁判所の執行官による現況調査)、物件の状況が不安定になり、任意売却の活動がさらに制約されることもあります。この時間的制約は、他の問題点をより深刻化させる要因となります。

2. 売却価格の設定ミス

売却価格の設定は任意売却の成否を分ける重要なポイントです。市場価格より大幅に高い価格(例えば1割以上高い価格)で売り出すと、当然ながら買い手は現れにくくなります。債権者は回収額を最大化したいと考え、高めの価格を指示することもありますが、現実離れした価格では売れ残り、値下げを繰り返すうちに物件の印象も悪化します。

逆に、安すぎる価格は買い手にとっては魅力的でも、債権者が損失を許容できず同意しない可能性があります。任意売却における価格は、売主の希望だけでなく、買主の期待、そして債権者の回収方針という三者のバランスの上に成り立つ「交渉の結果」であり、専門家による適切な査定と戦略が不可欠です。

3. 税金や管理費の滞納

固定資産税や住民税、マンションの管理費などを滞納していると、行政や管理組合によって物件が差し押さえられ、その登記がなされることがあります。この差押えは、任意売却を進める上で大きな障害となります。売却して所有権を移転するためには、原則としてこれらの滞納金を解消し、差押えを解除してもらう必要があるからです。

滞納額が大きい場合、売却代金だけでは清算しきれず、任意売却自体を断念せざるを得ないケースも出てきます。さらに、税金の滞納は、最悪の場合、行政による公売(競売の一種)につながる可能性もあり、任意売却の努力が無に帰すリスクもはらんでいます。

4. 債権者との調整不足

任意売却は、抵当権を持つ全ての債権者(金融機関、保証会社など)の同意がなければ進められません。しかし、各金融機関には独自の承認プロセスや判断基準があり、必要書類の不備や連絡の遅れが手続きの遅延や不承認につながることがあります。

特に複数の債権者がいる場合、売却代金の配分調整(ハンコ代交渉)は複雑を極め、合意形成が難航しがちです。経験の浅い業者が担当すると、交渉の進め方や法的手続きの段取りを誤り、最終局面で同意を得られないこともあります。債権者の同意が得られない理由としては、ローンの残高が多すぎたり、過去に金融機関との間でトラブルがあったりする場合なども挙げられます。

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成功率を大きく左右するのは「業者選び」

任意売却は抵当権解除や債権者交渉が伴う専門性の高い取引です。経験豊富な専門業者に依頼するか否かで成功率が大きく動きます。

任意売却の専門知識、地域密着、実績、交渉力が重要

任意売却は、通常の不動産売買とは異なり、債権者との交渉や複雑な権利調整が伴う専門性の高い取引です。したがって、業者選びでは以下の点が重要になります。

  • 地域密着型であること
    地域の不動産市場や買い手の傾向を熟知している業者は、適正な価格設定や効果的な販売戦略を立てやすくなります。また、地元の金融機関との連携がスムーズな場合もあり、交渉を有利に進められる可能性があります。
  • 実績が豊富であること
    任意売却の取扱実績が多い業者は、様々なケースに対応できるノウハウを持っています。過去の実績は金融機関からの信頼にも繋がりやすく、交渉のテーブルにつきやすいという利点もあります。実際に9割近い成功率を誇る専門業者も存在します。
  • 交渉力が高いこと
    債権者、税務署、管理組合など、多くの関係者との間で合意を取り付ける必要があります。例えば、一度断られた条件でも、支払い時期の調整や費用の負担方法を工夫して再提案できるような、粘り強く柔軟な交渉力が求められます。売却代金から引越し費用を捻出するための交渉も、業者の腕の見せ所です。単に「家から近い」「知り合いだから」といった理由で業者を選ぶことは避けるべきです。

注意すべき業者の特徴と回避策

残念ながら、任意売却の分野にも、依頼者の弱みにつけ込むような不誠実な業者が存在する可能性があります。以下のような特徴を持つ業者には注意が必要です。

  • 専門性の欠如
    一般の不動産仲介が主で、任意売却の経験が乏しい業者は避けた方が無難です。
  • 過大な約束や甘い言葉
     「絶対に成功します」「引越し代を多額に保証します」といった安易な約束をする業者や、リースバック(後述)を簡単にできるかのように説明する業者は要注意です。特にリースバックは成功率が低いため、過度な期待を抱かせる業者は信頼性に欠ける可能性があります。
  • 不透明な費用請求
    任意売却の相談や手続きにおいて、仲介手数料以外に不透明なコンサルティング料などを前払いで請求する業者は問題です。正規の業者の仲介手数料は、売買成立時に売却代金から支払われるのが一般的です。
  • 契約の強要
    十分な説明なしに契約を急がせる業者も避けるべきです。
  • 紹介専門の業者(紹介屋)
    NPO法人や一般社団法人を名乗っていても、実際には不動産取引の免許を持たず、他の業者に紹介して紹介料を得るだけの「紹介屋」であるケースもあります。相談先が宅地建物取引業の免許を持っているか確認しましょう。

業者を選ぶ際には、複数の業者に相談し、任意売却に関する具体的な実績や進め方、過去の事例などを詳しく質問することが大切です。

成功率を高めるための大前提とは?

任意売却を成功に導くためには、いくつかの絶対的な条件があります。

「できるだけ早く相談」が最大のポイント

「いつ相談するか」は、任意売却の成功率を左右する最大の要因です。住宅ローンの支払いが困難になりそうだと感じた時点、あるいは督促状が届く前の段階で、できる限り早く専門家に相談することが推奨されます。

早期に相談することで、売却活動に十分な時間をかけられるだけでなく、債権者との交渉においても有利な立場を保ちやすくなります。特に、債権者が競売の申し立てを行う前であれば、債権者側も比較的柔軟な対応を取りやすく、成功率は格段に高まります。代位弁済通知が届いた後では、残された販売期間が大幅に短くなり、交渉の余地も狭まってしまいます。早期の行動は、精神的な負担を軽減し、引越し費用の確保やリースバックといった選択肢を検討する余裕も生み出します。

適正価格での売り出しがカギ

どれだけ時間を確保できても、売却価格が不適切であれば買い手は見つかりません。市場価格からかけ離れた高値では敬遠され、逆に安すぎると債権者の同意が得られません。

任意売却における「適正価格」とは、市場の相場、債権者の回収希望額、そして売主の状況などを総合的に考慮して設定される、非常にデリケートなものです。複数の専門業者に査定を依頼し、客観的な根拠に基づいた価格で売り出すことが重要です。特に最初の売り出し価格は、物件の第一印象やポータルサイトでの注目度にも影響するため、慎重な判断が求められます。

任意売却の成功はタイミングと的確な行動、そして専門家の選択にかかっている

任意売却の一般的な成功率は5~6割とされていますが、この数字はあくまで目安であり、悲観的になる必要はありません。成功の可能性は、ご自身の行動と選択によって大きく引き上げることができます。

最も重要なのは、「できるだけ早く専門家に相談すること」、そして「任意売却に精通した信頼できる専門業者を選ぶこと」です。これらに加え、現実的な価格設定と売却活動への積極的な協力が伴えば、任意売却は競売を回避し、より良い条件で不動産問題を解決するための有効な手段となります。

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私たちリスタートは、任意売却専門会社として1,500以上の相談件数と、競売回避率80%以上の実績を誇ります。(2024年12月1日時点)
通常、競売を回避する割合は、1割に満たないと言われています。
そんな中、リスタートでは代表自ら相談者様に寄り添うことで競売を避け、新たな生活のスタートを切るお手伝いを実現してきました。
銀行や債権者、管理会社、役所などとの面倒な手続きも、すべて代表の峯元が代行しますので、まずはお気軽にご相談ください。

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