任意売却の期限はいつまで?流れや売却にかかる期間も解説
目次
任意売却は自分の意思で売却できたり、市場価格に近い販売価格が可能など、メリットも多いですが、期限を過ぎてしまうと競売にかけられることが一般的です。競売の場合、販売価格が低くなるなどデメリットが多く、できれば避けたいですよね。
この記事では、任意売却の期限や各工程にかかる期間、任意売却の流れなどを解説します。
1.任意売却の期限はいつまで?
任意売却には期限があり、期限までに売却できなかった場合、競売にかけられます。競売にかけられたくない方は、具体的に期限はいつまでか把握しておくことが重要です。
ここでは、任意売却の期限はいつまでか解説します。
1-1.一般的に期限は販売開始から約1年
不動産の販売期間決定権は債権者にあるため、明確な期間は決まっていませんが、売却開始から最大1年という場合が一般的です。
債権者も売却価格が安価になってしまう可能性のある競売にかけたくないと考えており、通常の不動産売却でかかる3〜6ヶ月よりも余裕を持った期間を設定する傾向にあります。
とはいえ、債権者が任意売却で売却できないと判断した場合には、短期間で競売にかけられる場合もあるので注意しましょう。
1-2.競売の開札日前日まで任意売却は可能
任意売却で売却の見込みがない場合、債権者は競売を開始しますが、競売が開始されても競売の開札日前日までに買主が見つかり、任意売却のすべての手続きが完了していれば問題ありません。
なお、競売の申立てから開札までは約3〜6ヶ月といわれているため、できるだけ早めに手続きを開始しましょう。
2.任意売却にかかる期間
任意売却の各工程にかかる期間は以下のとおりです。
任意売却の工程 |
要する期間 |
返済の滞納〜期限の利益喪失まで |
6ヶ月 |
債権者との交渉〜任意売却の許可を得る |
数週間〜約1ヶ月 |
売却活動開始〜売買契約成立 |
約3〜6ヶ月 |
まず、6ヶ月を超える滞納をした場合に期限の利益喪失となります。6ヶ月というのは6ヶ月連続して滞納ではなく、過去から現在までの合計で6ヶ月の滞納のため、注意しましょう。
期限の利益喪失後、債権者に対して任意売却の交渉を行い、任意売却の許可を得ます。許可を得るまでの期間は数週間〜1ヶ月程度です。交渉前に不動産会社や弁護士などに相談する必要があるなど、思いの外時間がかかってしまうため、余裕を持って交渉を行いましょう。
債権者に任意売却の許可を得たら、実際に売却活動を開始します。売却活動開始から売買契約成立までは3〜6ヶ月程度が一般的です。
3.任意売却の流れ
任意売却にかかる期間は約1年といわれていますが、具体的にどのような流れで進めるのか不安ですよね。
任意売却の流れは以下のとおりです。
1. 金融機関から催促状が届く
2. 不動産会社に相談・査定する
3. 住宅ローン残債を確認する
4. 不動産会社と専任媒介契約を結ぶ
5. 債権者(金融機関)から許可を得る
6. 任意売却の手続き・売買を開始
7. 売買契約成立後、購入者が決定する
8. 所有権移転の手続きを行う
9. 物件の引き渡し・引越し
それぞれについて解説していきます。
3-1.金融機関から催促状が届く
まず、ローンの返済が滞納している場合、金融機関から電話やハガキで催促があります。催促状が届いてから3〜6ヶ月対応しなかった場合、期限の利益喪失になり、金融機関は保証会社より代位弁済を受けます。
金融機関の代位弁済が完了した後、債務者に「代位弁済完了通知」「期限の利益の喪失通知」が届き、債務を分割で支払う権利がなくなり、一括で返済することになります。
一括で返済できない場合は競売にかけられます。とはいえ、競売では市場価格よりも低く売却されることが多く、競売で売買が成立する前に任意売却とう方法を用いることが一般的です。任意売却は「期限の利益の喪失通知」が届いてから申請可能になります。
3-2.不動産会社に相談・査定する
催促状が届いた場合、その時点で任意売却を得意とする不動産会社に相談するのがスムーズでしょう。
不動産会社は債務者に対して、今後どのような対応を取るべきかアドバイスをしてくれます。
また、実際に売却した場合にどのくらいの値段で売れるのか査定も可能です。査定を依頼する場合には、不動産の図面など詳細な情報がわかる資料を用意しておくと、スムーズかつ正確な査定となります。
3-3.住宅ローン残債を確認する
住宅ローンの残債を確認することによって、任意売却後の支払計画書作成時の参考にできます。住宅ローン残高の確認方法は以下の3つです。
● 返済予定表
● 残高証明書
● 借入をしている金融機関のWebサイト
このうち、返済予定表は住宅ローン契約後に必ず郵送されるもので、契約時の書類と一緒に保管している場合が多いです。
3-4.不動産会社と専任媒介契約を結ぶ
不動会社に相談後、販売価格やスケジュールなどに納得できたら媒介契約を結びます。媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3つがあります。
任意売却の場合は、1つの不動産会社に依頼する「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」となります。
3-5.債権者(金融機関)から許可を得る
専任媒介契約を結んだ後、不動産会社が債権者と交渉し、抵当権抹消と任意売却の許可を得ます。また、任意売却の販売価格を決めるのは債権者のため、不動産会社は査定価格をもとに債権者と販売価格の交渉をし、販売価格が決定します。
3-6.任意売却の手続き・売買を開始
債権者から許可が出た後、任意売却の手続き・売買を開始します。売買活動の流れは、買主の募集を行い、内見の準備をするなど、通常の不動産売買と同様に対応します。
3-7.売買契約成立後、購入者が決済する
買主が見つかった後、売買契約を結びます。具体的には、不動産会社が債権者に「購入申込書」「売買代金配分表」を提出し、債権者の許可を得てから売買契約を成立します。
売買契約成立後は購入者が決済するのを待ちます。
3-8.所有権移転の手続きを行う
不動産の所有権移転の手続きは、司法書士主体で行います。通常、書類の不備や法務局が混んでいなければ1〜2週間で手続き完了します。
3-9.物件の引き渡し・引越し
決済・所有権移転が完了後、物件の引き渡しを行い、引越しをします。決済後すぐに引き渡しを行う必要があるため、引越しは決済前に完了させておくことがおすすめです。
もし任意売却後に残債があれば、支払計画に基づいて返済を続けていきます。
4.任意売却期間に売却できなかったときは競売になる
任意売却期間中に売却できなかったときは競売にかけられます。ここでは競売と任意売却の違いや競売落札後の流れ・期間を解説します。
4-1.競売と任意売却の違い
任意売却と比較して、競売には以下の点に違いがあります。
● 新聞やインターネットに競売物件として住所が公表される
● 市場価格の7割程度で売却される
● 引越しのタイミングを調整できない
このように金銭面や精神面の観点でデメリットが多く、競売は避けた方が良いでしょう。特に市場価格よりも低い価格で売却されることによって、その後の住宅ローン返済に充てられるお金も少なくなることには注意が必要です。
4-2.競売落札後の流れ・期間
競売落札から引き渡しまでは最長で4〜6ヶ月です。競売落札後は引き渡し日が確定し、強制退去という流れになります。
4-3.任意売却を希望する場合は早期に相談を
競売はデメリットが多いため、競売になる前に任意売却を早期に検討することが重要です。住宅ローンの返済が難しい場合は、債権者からの通知などを待つだけでなく、自ら債権者や不動産会社に相談し、余裕を持って任意売却の準備を進めると良いでしょう。
まとめ
任意売却は期限があり、期限を過ぎて競売にかけられないためにも余裕を持って準備することが重要です。住宅ローンの返済が難しくなった時点で、金融機関や不動産会社に相談し、任意売却の手続きをスムーズに進められるようにしておきましょう。
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