競売にかけられた家を買い戻す方法とは?競売にかけられる理由や流れを解説
目次
住宅ローンの支払いが滞納した場合に、持ち家が競売にかけられることがありますが、できる限り競売を避けたい方も多いでしょう。持ち家が競売にかけられる流れや、持ち家が競売にかけられた後に買い戻す方法はどのようなものでしょうか。
この記事では、そもそも競売とはどのような不動産取引なのかを説明し、競売の流れや競売にかけられた家を買い戻す方法について解説します。
1.競売とはどのような不動産取引なのか?
競売とは、債権者が法的手段を用いて不動産を強制的に売却する方法のことを指します。これは住宅ローンなどの債務を返済できない債務者が不動産を担保に設定している場合に適用されます。競売によって債務者が債務を返済できない場合、債権者は不動産を売却し、その売却代金を債務の返済に充てることができます。
競売は通常、オークション形式で行われます。競売は公平かつ公開される形で行われ、最も高い価格をつけた競り手がその不動産を購入できるようになっています。競売のプロセスには裁判所による法的手続きが伴い、債務者に対する通知や期限の設定が含まれます。競売の成功によって、債権者は債務の一部または全額を回収することができ、競り手は不動産を入手する機会を得ます。
競売は、財産権の保護と債権者の権利の確立に役立つ法的手段ですが、債務者にとっては最終手段となり、財産を喪失する可能性があるため、慎重に扱われる必要があります。
2.家が競売にかけられる理由2つ
家が競売にかけられる理由は主に以下の2つです。
● 住宅ローンや管理費を滞納している
● 消費者金融からの借入を滞納している
順に解説していきます。
2-1.住宅ローンや管理費の滞納
競売に家がかけられる主な理由の1つ目として、住宅ローンや管理費を滞納していることが挙げられます。住宅ローンの滞納は一般的な競売の原因として知られていますが、特にマンションの場合、住宅ローンを支払っていても、管理費などの滞納が競売の引き金となることに注意が必要です。
マンションの場合、住宅所有者は単に住宅ローンを返済するだけでなく、共同住宅の維持と運営にかかる管理費や修繕積立金を支払う義務があります。これらの費用の滞納が続くと、管理会社や共同住宅の組合が滞納者に対して法的措置を取ることがあります。
最終的には、競売によって不動産が売却され、その売却代金から滞納した費用が償却されます。
2-2.消費者金融からの借入を滞納
競売に家がかけられる理由の2つ目として、消費者金融からの借入を滞納していることが挙げられます。消費者金融は、個人が借金をしており、その債務の返済が滞る場合、競売手続きを裁判所に対して申し立てることがあります。
消費者金融からの借入が滞ると、債務者は債務の返済期限を守らないことになり、債権者である消費者金融は債務の回収を試みます。一般的に、消費者金融は債務者と交渉し、返済計画を立てたり、滞納の解決策を模索します。
しかし、これらの交渉が成立しない場合、消費者金融は競売手続きを開始することがあります。
消費者金融からの借入の滞納は、債務者にとって重大な問題となり、不動産の競売という結末につながることがあるため、債務者は返済計画の遵守や交渉を通じて、滞納の回避を努力することが重要です。また、法的手続きが進行する前に、専門家の助言を受けることも検討すべきです。
3.競売のデメリットとは
ここでは、一般的に言われている競売のデメリットについて解説します。
3-1.売却価格が市場価格を下回ることがほとんど
競売では売却価格が市場価格を下回る傾向があると言われています。 競売はオークション形式での売却となるため、不動産は市場価格の5割から8割の価格で売却されることが一般的です。競売物件は通常、急いで売却される必要があるので、購買意欲の高い投資家や不動産業者が低価格で入手しやすい状況となっているためです。
また、不動産が低価格で売却される場合、債務者にとっては住宅ローンやその他の債務に対する残債務が多く残る可能性があります。競売の売却代金が債務を完全にカバーしない場合、債務者は残債務についても責任を負うことになり、追加の負担が生じることがあるというデメリットもあります。
3-2.住宅ローンの滞納がほかの人に知られる可能性がある
競売のデメリットとして、住宅ローンの滞納が他の人に知られる可能性があるという点も挙げられます。競売にかけられる不動産の情報は一般的に公になり、インターネットや情報誌などで容易に入手できるため、住宅ローンの滞納が他人に知られることがあるという懸念があります。
競売の手続きが始まると希望者は裁判所で競売の申し立てがされた不動産情報を閲覧することができるようになります。特に不動産会社や競売屋と呼ばれる業者が競売にかけられている不動産の情報を閲覧する可能性が非常に高いです。また、これらの業者は不動産の近所にチラシなどを配り、購入者を集うこともあります。
競売の申し立てがされると不動産調査のため、裁判所の執行官と不動産鑑定士が自宅にやってきます。その際に資料として外観に加えて室内の写真も撮影します。
この調査に対して不動産所有者の拒否権はないため、強制的に行われます。
3-3.引越し費用控除の交渉ができない
競売のデメリットとして、引越し費用控除の交渉ができないという点も挙げられます。競売の場合、不動産は強制的に売却され、債務者は家を明け渡すことを求められるため、引越し費用軽減の交渉が通常は認められていません。
競売にかけられた不動産を明け渡す際、債務者は自身の費用で引越しを行う必要があります。これには荷物の梱包、運搬、新たな住居の探し、引越し業者の費用などが含まれます。競売の影響を受けた債務者にとって、これらの費用は負担となってしまいます。
また、強制的な引越しと競売に伴う財政的負担は、債務者やその家族にとって社会的および感情的なストレスを引き起こす可能性があります。新たな住居を見つけ、生活の安定を確保する過程は、非常に困難なものとなります。
4.持ち家が競売にかけられる流れ
ここでは、持ち家が競売にかけられる流れについて解説します。競売の手続きは地域によって異なることがあるため、具体的な情報を各webサイトや専門家から入手することも必要となる場合があります。
4-1.督促状や催告書よる支払い請求が届く
住宅ローンの返済や管理費の支払いが滞納している場合、持ち家が競売にかけられる最初の兆候として金融機関から催促が届くことがあります。通常、滞納から約2~3ヶ月滞納してしまうと、金融機関は催促の手段として電話、ハガキ、またはメールで支払い請求を行います。
この段階ではまだ競売の手続きは始まっていませんが、債務者はそれらの請求が届き次第対迅速な返済をする必要があります。また、任意売却の不動産取引申請を行うことができます。競売が始まっていない段階から滞納してしまっている金融機関に相談することがおすすめです。
4-2.競売の期間入札通知が届く
もしも催促書を債務者が無視し、返済を怠り続け、金融機関が債権回収手続きに進む場合、保険会社が裁判所に申請することで競売の手続きが始まります。競売の期間が設定され、競売の通知が債務者に届きます。
この通知には競売物件の詳細や競売の日程が含まれます。また、希望者は裁判所にて不動産の写真などが添付された現況調査報告書や競売物件の周辺環境や評価額、不動産の図面などが添付された評価書などを閲覧できるようになります。
債務者にとっては、競売が本格的に進行し始める段階です。
4-3.競売が行われる
競売は通常、競売開始から入札が行われるまでの期間が設けられます。この期間は約1週間から1ヶ月程度の間です。競売はオークション形式で行われ、不動産に対して最高入札額を出した者が購入することができます。
購入者が購入代金を納付した時点でその不動産の所有権を得ることができます。
4-4.売却許可決定され、売却費が支払われる
競売で競り落とした者に対して売却許可が与えられ、競売物件の所有権が落札者に移行します。競売で得られた売却代金は、債務者に対して一括返済として支払われ、これにより債務が一部もしくは完全に償却されます。
4-5.不動産の明け渡しを求められる
所有権が移行した後、競売にかけられた不動産の新たな所有者である競売落札者は、不動産の明け渡しを債務者に求めることができます。債務者は、所定の期間内に不動産を明け渡す責任があります。
この段階で債務者は不法占拠者となり、明け渡しを拒否すると法的措置が取られる可能性があります。
5.競売にかけられた家を買い戻す方法3選
持ち家が競売にかけられる理由は主に以下の3つです。
● 家族や親族に落札してもらう
● 競売入札代行業者の力を借りる
● 不動産を落札した方から直接買い取る
順に解説していきます。
5-1.家族や親族に落札してもらう
競売にかけられた家を買い戻す方法として、家族や親族に落札してもらうという方法が一つの選択肢として考えられます。
競売はオークション形式で行われ、競り手によって価格が決まります。親族が競り手として参加し、入札した中で最高の価格をつければ、競売物件を落札することが可能です。親族による落札は、家を家族内で保持するための方法として有効である場合があります。
しかし競売は競り手によって価格が変動するオークション形式のため、競り落とすことが保証されない点に留意が必要です。競売は他の投資家や不動産業者などが参加するため、競り手として成功するためには慎重な計画と資金調達が必要です。
5-2.競売入札代行業者の力を借りる
競売にかけられた家を買い戻す方法として、競売入札代行業者の力を借りるという方法もあります。競売入札代行業者は、競売入札の専門家であり、一般に家族や親族よりも落札可能性が高いといわれています。
競売入札代行業者は競売プロセスに精通しており、適切な入札戦略を立て、競り手として最適な価格で物件を獲得するために専門的なスキルと知識を持っています。競売入札代行業者を利用することで、物件を競り落とせる可能性を高めることができます。
競売入札代行業者は市場動向や競売プロセスについて正確な情報を提供し、最適なタイミングで入札を行います。
競売入札代行業者の利用料金は、成功報酬や固定料金に基づいて決定されることが一般的です。報酬は通常、物件の価値に応じて決定されます。最低でも20万円から30万円程度の費用がかかることに注意が必要です。
5-3.不動産を落札した方から直接買い取る
3つ目の方法として、不動産を落札した方から直接買い取るという方法が考えられます。競売で落札された不動産を再び買い戻すことは法律上禁止されていません。
しかし、不動産を再購入するには競売で手放した不動産の落札価格や市場価値に対する資金を用意する必要があります。資金調達は通常、住宅ローン、個人の貯蓄などの手段を通じて行われますが、資金面の問題から不動産の再購入は現実的ではなく実現が難しい場合が多いといわれています。
まとめ
この記事では、競売とはどのような不動産取引なのかを説明し、競売の流れや競売にかけられた家を買い戻す方法について解説しました。
競売は一般的にデメリットが多く、できるだけ避けたい不動産取引と言われています。その他の不動産取引として任意売却がありますが、検討されている場合はまず金融機関や専門家に相談するのがおすすめです。
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