東京・横浜での任意売却支援ならリスタート株式会社 > NEWS/BLOG > Blog > 根抵当権とは?抵当権との違いや売却時の抹消方法をわかりやすく解説
BACK
Blog

根抵当権とは?抵当権との違いや売却時の抹消方法をわかりやすく解説

根抵当権とは、未来の不特定債権を含めた担保として不動産を設定する担保権のこと。通常の抵当権と異なり、特定の債権を定めず、あらかじめ設定された極度額の範囲内で何度も融資の担保として利用可能です。

 特に事業資金の融資やリバースモーゲージに利用されることが多く、設定と消滅の手続きにはそれぞれ法務局への登記が必要。本記事では、根抵当権の具体的な活用例と売却時の抹消方法を詳しく解説します。

 

根抵当権とは

根抵当権は、不動産の担保価値を算出し、貸し出せる上限を定めて一連の取引に関する債権を極度額の範囲内でまとめて担保する権利です。通常の抵当権とは以下の点で異なります。どのように違うのか、ご紹介します。

 

抵当権との違い

根抵当権と抵当権は以下の要素が異なります。

 l   担保の範囲

l   繰り返し借り入れできるか

l   連帯債務者が認められるか

l   権利の移譲ができるか

l   合意なしで抹消ができるか

 それぞれについて説明します。

 

根抵当権とは、特定されていない未来の債権までも担保にできる特徴を持つ不動産担保権です。この担保権は、特定の貸付金額を限定せず、将来にわたって発生する可能性のあるさまざまな債権に対応できるという点で、通常の抵当権と大きく異なります。抵当権は特定の債権に対してのみ不動産を担保にするのです。

 

根抵当権において、繰り返しの借入れが可能な点は、通常の抵当権との大きな違いです。根抵当権は、将来にわたる不特定の債権を担保とすることができ、一度設定すれば、定められた極度額の範囲内であれば複数回の借入れが可能です。これに対し、通常の抵当権は、個別の具体的な債権に基づいて設定され、新たな借入れの度に再度の担保設定が必要になります。

 この違いは、特に融資を繰り返し受ける必要がある事業者にとって大きな利点となります。根抵当権を利用することで、手間や費用を節約しながら、柔軟に資金調達を行うことが可能です。ただし、債務者としては担保となる不動産に継続的な担保義務が生じるため、その点を理解しておく必要があります。

 連帯債務者が認められるか

根抵当権では連帯債務者が認められない点が、通常の抵当権との大きな違いの一つです。抵当権の場合、連帯債務者を設けることが可能ですが、根抵当権の場合、その特性上、連帯債務者の設定は認められていません。

 これは、根抵当権が設定された債権の範囲や借入限度額が将来にわたって拡大する可能性があるため、連帯債務者に対して不確実なリスクを負わせることを避けるためです。

 

抵当権と根抵当権では権利の移譲に関する取扱いが異なります。通常の抵当権の場合、権利の移譲は比較的自由に行えますが、根抵当権では権利の移譲が制限されることが多いです。これは、根抵当権が将来にわたる不特定の債権を担保とするため、権利の移譲が債権者と債務者間の関係に大きく影響を及ぼす可能性があるからです。

 具体的には、根抵当権設定後の権利移譲を行う場合、事前に債権者の同意を得る必要があり、これには法的な手続きが伴います。

 

根抵当権と抵当権の重要な違いの一つに、抹消に関する合意の有無があります。根抵当権は、合意なしには単純に抹消することができません。債権者と債務者の間で抹消に関する明確な合意が必要とされ、その後法務局に抹消登記を申請する必要があります。

 これに対して、通常の抵当権は、債務の完済が確認されれば、比較的簡単に抹消手続きを行うことが可能です。この違いは、根抵当権が未来の不特定の債権をも担保にできるため、より慎重な手続きが求められるためです。

 

根担保との違い

根担保と根抵当権は、不動産を担保にして融資を受ける際に関連する用語ですが、意味や性質は異なります。以下にそれぞれの違いを説明します。

 根担保は、一般的には担保として提供される不動産の価値に基づいて、融資を受ける際の保証となるものを指します。通常の抵当権と同様に、金融機関が不動産を担保にして、万が一の場合に担保を売却するなどして優先的に債権を回収できる権利です。根担保は、一度の融資のみを担保し、追加の借り入れには新たな担保設定が必要となります。

 一方で根抵当権は、不動産を担保にして複数回の借入が可能な権利です。契約時に定められた貸付限度額の範囲内で何度でも借り入れができ、追加の借り入れには再度の手続きが不要です。

 根抵当権を設定する債権者は、あらかじめ不動産の担保価値を算出し、貸し出せる「上限額(極度額)」を決めます。

根担保と根抵当権は、不動産を担保にした融資において異なる役割を果たすため、注意深く理解しておくことが重要です。

 

根抵当権を設定するメリット

根抵当権を設定することには多くのメリットがあります。根抵当権は特定の債権を指定する必要がなく、一つの不動産を担保として、将来的に発生する可能性のある広範な債権に対応できる点が大きな利点です。これにより、事業者は再度の担保設定手続きや追加の費用を省け、融資の柔軟性と速度が向上します。

 また、担保の範囲内であれば何度でも借入れが可能で、事業の持続的な資金調達が容易になります。この仕組みは、特に事業用資金や大規模プロジェクトにおいて有効であり、資金調達の効率を大きく改善します。

 

根抵当権を設定するデメリット

根抵当権を設定すると、融資先の変更が難しくなる可能性があります。元の融資先との事前の交渉が必要となり、これが難航すると心理的な負担や時間がかかることがあります。また、不動産の売却時には抹消登録が必要となり、これには追加の手続きや費用が発生します。

 さらに、根抵当権が設定されている不動産は、債務者が複数回にわたって借り入れた金額全てに対する担保となるため、競売の際には注意が必要です。これらの点を理解し、専門家のアドバイスを受けながら慎重に検討することが推奨されます。

 

根抵当権の抹消方法

 

根抵当権の抹消は債権者である金融機関の同意がなければできません。根抵当権を外すには一般的に以下の手順で行います。

 1.     債権者(金融機関)との交渉

2.     元本の確定

3.     法務局での抹消手続き

 詳しくみていきましょう。

 

➀債権者(金融機関)との交渉

根抵当権の抹消には、まず債権者である金融機関との交渉が必要です。残債の確認後、金融機関に抹消の意向を伝えます。しかし、金融機関が抹消に応じない場合もあります。これは、抹消により貸付先を失うことを意味するためです。特に、残債が多く「完済が難しい」と判断される場合、交渉は困難になる可能性があります。

 不動産の売却による完済が見込めない場合は、別途資金を用意する必要があります。合理的な理由があれば、金融機関も抹消に応じることが多いですが、交渉には時間がかかることを覚悟する必要があります。根抵当権の抹消登記は複雑なため、専門家のアドバイスを求めることが望ましいでしょう。

 

➁元本の確定

元本の確定とは、将来的に発生する可能性のある債権のうち、実際に発生し確定した債権を特定する作業を指します。根抵当権の場合、担保されている債権が最初は不特定であるため、具体的な金額を明確にする必要があります。

 この確定作業は、債務が完済されるか、債権者との合意により債権の範囲が変更された場合に行われます。元本が確定すると、その額に基づき根抵当権の抹消が可能になり、法務局に抹消登記を申請することが可能に。確定できない場合、例えば債権が未だ発生していないか不確定である場合、債権者とのさらなる交渉や合意が必要になります。

 

③法務局での抹消手続き

元本の確定後、まず債務完済または債権者との合意による根抵当権の解除が必要です。次に、法務局に抹消登記を申請することで、正式に抹消が行われます。

 抹消登記には以下の書類が必要です。

 【根抵当権の抹消手続きで必要な書類】

l   抹消登記申請書

l   印鑑証明書(申請者のもの)

l   登記済証または登記識別情報

l   抹消理由を証明する書類(例:債務完済証明書)

 抹消手続きの費用には登録免許税が含まれ、その額は抹消する根抵当権の極度額に基づいて計算されます。通常、抹消登記の費用は比較的低額ですが、手続きの複雑さによって変動することがあります。

 留意すべき点としては、抹消手続きが適切に行われない場合、根抵当権が残ってしまい、将来的な不動産の取引に支障をきたす可能性があるため、手続きは慎重に行うことが求められます。

 

根抵当権の抹消手続きは専門家に相談を

根抵当権は、未来の不特定債権を含む担保権で、事業資金の融資やリバースモーゲージに利用されます。抵当権と異なり、極度額内で繰り返し借入が可能で、連帯債務者の設定が認められません。抹消には債権者の同意が必要で、法務局での手続きが伴います。

 根抵当権の設定は資金調達の柔軟性を高めますが、抹消時の手続きや費用が発生するため、専門家のアドバイスが必要です。

 

まとめ

根抵当権は、抵当権や根担保とは異なる特徴を持つ担保権です。一定の限度額の範囲内で繰り返し借り入れができ、連帯債務者の設定も可能ですが、担保の範囲は物件に限定され、権利の移譲や合意なしの抹消はできません。根抵当権の設定には、担保価値の維持や金利優遇などのメリットがある一方、抹消の手続きが煩雑というデメリットもあります。

 根抵当権を抹消するには、債権者との交渉、元本の確定、法務局での手続きが必要で、専門知識が求められるため、専門家に相談しましょう。